こんにちは、平日より土日の方が忙しい気がしてきた社長の奥平です。今月は法事とセミナー漬けの週末が確約されています。
さて今回の記事はデザインの要素を分解して解説していきます。実務経験の浅いデザイナーさん、非デザイナーさん向けの内容ですので、Photoshopなどの各種WEBデザインアプリの操作方法や種類は真琴の記事に追記する予定になっていますのでそちらをご覧ください。通常よりも前置きがかなり長めになっていますのでご注意ください。
あなたはデザインにおける最重要ポイントは何だと思いますか?センスの良いビジュアル、全体的なアート感、キャッチコピー等など、様々なポイントを上げることが出来ます。もちろんアクセス、CVR(転換率)、売上などの各種指標も大事ですね。
よくある状況でのドラマ仕立てでデザインの核心に迫ってみましょう。
店長君
EC事業担当者、ディレクターとして従事。デザインのことはあまり分からないが業界研究と競合他社の動向など外的要因は把握している。
デザイナーさん
店長君と同じチーム内で働くデザイナー、デザイン系専門学校(非WEB系)を卒業後に入社、実務経験は1年半ほど。どちらかというと意識高い系
ユーザー様
ネットショッピングで買い物することが多い、上記二人とは面識がないもののショップのサイトは定期的に見ているファンの一人。
店長君「デザイナーさん、今回新しくバッグを取り扱うことになったから制作よろしく。写真素材はカメラマンからもらっているので素材フォルダを共有しておくね。」
デザイナーさん「かしこまりました。どんな感じのデザインで行きましょうか?」
店長君「そうだな、、、オシャレっぽいのでお願いできる?」
デザイナーさん「わかりました!シャレオツなやつ制作します(・∀・)」
数日後に出来上がったデザインがこちら。
店長君「オシャレっぽくて良いね!でも、バッグっていう事以外何もわからないなー。下に書いてある文字はなんて書いてあるの?」
デザイナーさん「これはオシャレ感演出の為なので特に意味はありません!でもディテールに拘って敢えてフランス語でパリ感を出しています(ドヤ」
店長君「なるほどね、フランス語はオシャレだね。大事な所は英語でBAGって書いてあるし大丈夫だね。」
ユーザー様「雰囲気重視で全然伝わって来ないなー。サイズ感も分からないしオシャレっぽいけど買おうとは思えないな。」
店長君「全然売れない。。もう一回デザイナーさんと打ち合わせしてリニューアルしよう。」
デザイナーさん「オシャレ感って言われたからそうやって作ったのに作り直しなんて。。。」
店長君「ごめん、前回のデザインじゃちょっと売上悪いから売れるようにしてよ。」
デザイナーさん「うーん、具体的にどこをどうやって直しましょう?」
店長君「売れるようにしてよ。プロのデザイナーでしょ?」
デザイナーさん「売れるようにって言われてもなー。もう少し具体的な指示がほしいなー、とりあえず色々なお店のページを見てみようっと。」
デザイナーさんは色々なお店を見た結果以下の事を感じました。
・モデル着用の方がオシャレ感があって売れそう。
・他にも色があることを訴求する
・素材や収納などの機能も大事
それをデザインに落とし込んだ結果。
デザイナーさん「店長できました!確認おねがいします(・∀・)」
店長君「おっ、イイ感じじゃないか。一見して商品の特徴や形状が把握できるし展開色も分かりやすいね。」
デザイナーさん「ありがとうございます。自分で購入する時に何が知りたい情報か意識して他店舗のページを見た時に欲しい情報がひと目でわかると続きを見に行きたくなると経験したのでそれを落とし込んでみました。」
ユーザー様「あっ、ページが変わっている、画像で色々わかっていいね。買ってみようかな」
店長君「よっしゃー!バッグ売れだしたー!デザイナーさんありがとう!俺も顧客目線を忘れずにディレクターするよ」
以上。
デザイナーさんが気付いた事で改善されたきっかけは売り側から買う側になった時に知りたい情報が掲載されているかどうかです。
当初のデザイナーさんはオシャレでアーティスティックなページですね。自分の満足のためだけで完了してしまいデザインの先の人の事はないがしろにしています。しかし、店長君に修正を指示されて直す際に再考しました。その時の目線は自分がお客さんであれば何の情報を求めるか?
その結果作り直したものはお客さんの目線で情報を掲載することが出来ました。売上も伸びて店長さんも喜んでいます。
デザインとアートは何となく似ていて根底が大きく異なります。デザインとは自分のために制作するものではなく自分以外の誰かのために。アートは自己表現と問題提起。
言い換えるとデザインの最終的な目的はコミュニケーション補助にあります。対してアートとはきっかけを与えるものです。自分が満足しても他人を満足させることが出来なければデザインとしては意味をなしません、作り手の独りよがりで終わってしまいコミュニケーションが成立しません。
こういう定義を明確にすることで必然的にターゲットに対して的確なデザインを伝えることが出来ます。老若男女の全てで年齢も10才~65才というターゲティングでは突き刺さるデザインは作りにくいですが、「32歳の婚活中の男性」などの明確なターゲットが把握できていれば刺さるデザインは簡単に出てくることでしょう。顧客目線に立ちやすいからですね、そのためにもサイトのコンセプト商品のマーケティングなどデザインの前段階からディレクターとの意思疎通が重要となってきます。
作りて目線が強く出てしまうと「最新のフォトショップを使ってトレンディなフォントを使ったイケてるデザイン。レイヤー数が100枚を超える大作です!」と言っても一般ユーザーには本当にどっち向いても良い話題ですね。そんなことよりも写真と文字(キャッチコピー)で極限に削ぎ落として伝えるデザインが人の心を動かします。
素人のデザインに多い無駄に長いドロップシャドウやグラデーションの乱用は作りての独りよがりが強すぎて人に伝えることよりも作る事が目的になってしまっている悪例ですね、多くのデザイナーが経験して今では恥ずかしいと感じる事でしょう。かく言う私も赤面するほどのエフェクトかけまくりのデザインを作って悦に浸っていた時期があります(笑)
だいたいこういう時って作るだけで満足しちゃって数字(アクセス、転換、売上)もろくに意識せずにPDCAの思考がストップしているんですよね。先のドラマのデザイナーさんのようにだめなら改善していくというサイクルを取り入れ得ることで数字にコミットするデザインを意識できるようになります。
デザイナーの中でもWEBデザイナー、とりわけECのデザイナーは数字について関心を持って行くべきです。営業職の色合いが強い業務内容なのでデザイン如何で売上が大きく変わってきますよ。そういうデザインを心がけることマーケティングや購入心理の知識などビジュアルだけではない新のコミュニケーションツールとしてのデザインが湧き出して来ることを望んでいます。
デザイナーたるものクオリティが高いビジュアルを作れる事は基本です。そのビジュアルの方向性をどこにコミットするか、数字に対して話のできるデザイナーこそが我々ECデザイナーが目指すことろですよね。売上や利益などのお金の話はひとまず置いておいて転換率や回遊性の向上と直帰率の低下に意識を向けてください。
顧客目線から外れないことを至上としてください。